東京都練馬区・K様邸(2021年1月28日設置)の事例

間取りに合った外回りレールの設置
階段リフトをとりまく話②

前回に引き続き、私、営業担当が設置事例に基づいて階段リフトの魅力と特長を盛りだくさんでお伝えします。

今回は、RC構造のお家のL字階段の外側に設置した事例です。

階段リフトをとりまく話①』で内回りレールのメリットをご紹介しましたが、各ご家庭の間取りや生活動線に合わせたレール設計を行い、内でも外でもどちらでもご提案できるということが我々HESの強みです。

では、設置事例を見ていきましょう。

【まずは4枚の写真】

階段リフトの設置は、現調の階段計測から始まります。

最近ではコロナ感染対策としてリモートで行うケースもあるようですが、実際にお客様宅を訪問させていただき、お話に耳を傾けながら一番合った設計を提案させていただくというのが通常の流れです。

間取りによっては、ご希望に添えないレール設計もありますのでご了承ください。

我々は現調に伺った際、階段計測は機械を使って行います。

機械と言ってもカメラなのですが、この計測システムが非常に精密で信頼性があることで正確なレール製造につながっています。

見出しの4枚の写真についてお話する前に、ちょっとだけこの計測システムについてお話させて下さい。

このシステムは“EZee Survey“システムといいまして、簡単に言うと、階段上に特殊なマーカーを配置して、それをバシャバシャとカメラで撮影していくんです。

カメラは日本が誇るNikon製の一眼レフで、普通の1~2階の階段で50~60枚位、多い時には70~80枚の写真を撮影するのですが、撮影した写真はPC内にある専用のソフトウェアで解析処理され、それがそのまま三次元図面データとしてアウトプットされるのです。

ちょっと想像できないでしょうか?データはPCの画面上でも確認できるので、撮影した後に取り残しがあったり、マーカーの配置が間違っていた場合などは取り直しすることもできますが、現場ではそんなに時間はとれないし、時間がかかってしまうとお客様に対する印象も良くないので、慎重かつ迅速に計測ができるよう心掛けています。

ここで出てきたデータは、レール設計の指示と一緒にオランダ製造工場の設計部に送られ、レール図面が設計されてきます。

この図面をお客様にご承認いただいて晴れて製造開始となりますが、実際の施工上問題ないか?設置した後のメンテナンスには影響がないか?など、経験から得た知識をフル活用してあらゆる観点から念入りに検証を行います。レールを製造してしまったら修正が利かないからです。

ちょっと話がそれましたが、この計測を行う際には最初に階段全体を4枚の写真に収めます。

言い換えますと、4枚の写真を見ればどんな階段なのか誰でも把握できて、遠く離れたオランダの設計者もより正確なレール図面を描くことができるのです。

慣れている人であれば簡単なことですが、使いたての人にとっては、階段の全体像をこの4枚の写真で表現することが最初の関門と言っていいかも知れません。

冒頭に少しリモート現調に触れましたが、お客様におおまかな階段スケッチを描いて頂き、写真を4枚、時にはもう数枚必要なこともありますが、これだけの材料で概算でのお見積りができてしまうのです。

残念ながら、日常生活で応用できる機会はなさそうですが、全体をサマライズして相手に伝えるというのは大事なことかも知れません。

では、実際に現調時に私が撮影した写真をご覧ください。

階段上にマーカーが配置されています。散らかしているのではありません。



どうでしょうか?4枚の写真だけでどんな階段かイメージできたでしょうか?

イメージできなかったら、私の撮影がイマイチだったということでしょう。

階段上のマーカーが解析処理され、変換された平面図が下の図面になります。

右下の方が1階で、7段上った後、右に90度カーブして更に上っていく、まさにL字階段です。

2階には扉の開閉も出ていますね。また、左側に数字が入った表がありますが、これはマーカーを解析して三次元データと一緒にアウトプットされた数値で、1段1段の高さ(蹴上げ)が表示されています。

先程、計測は写真撮影と言いましたが、マーカーを撮影し解析しただけで高さまでも弾き出してくれるすごいシステムなんです。

なんだかワクワクして来ませんか?こうして現調時に最初に4枚の写真があって、設計部で図面を描いてもらってお客様の承諾をいただいたら製造開始。

その後、約1ヶ月の納期を経て設置工事を行い、お客様へのお引き渡し完了という流れになります。

因みに、設置工事はほとんどの場合、1日で完了します。十分な事前準備ができていればお昼頃に終わってしまうこともあります。


図面1


上の階段図面を基に工場でレールを描いてもらうと、こんな感じになります。

2階の扉の開閉にも邪魔になっていないですね。

ご商談によっては、工場図面を作成する前にHESで参考図面を作成し、概算見積りと一緒に十分にご検討いただいてから最終的に工場図面作成ということもあります。


図面2

【設置の様子】

余談ばかりで話が進みませんが、そろそろ設置事例を見ていきましょう。

今回はL字の外回り設計です。こうした間取りの場合、内回りにすると、1階で生活動線と逆向きで乗り降りすることになりますので、使い勝手がよくありません。外回り設置の典型ですね。

では2階はどうなのか?扉があるのでレールはあまり伸ばせません。

停止位置での椅子の向きは自由に設定ができるので、安全な上向きに旋回させてから乗降りしていただけますので、扉に干渉しない長さ、出入りに邪魔にならない長さに留めました。

レールを上階の段鼻で止める設計を俗に“段鼻止め”なんて呼んでいますが、これが上階で設計できる最短の長さになります。

勿論、十分なスペースがあれば、レールを更に上方向に伸ばしたり、90度カーブさせたり、時には180度カーブさせたりすることもできますので、何なりとご相談下さい。



このお宅は比較的階段幅が広かった為、標準タイプのフットレストでも、上階で反対側の壁にぶつかることなく旋回することができました。

850mm位の階段幅があれば標準タイプでの旋回は問題ありませんが、反対側の手すりやレール設計によってはギリギリなんてこともありますので、製造前には念入りに検証を行います。



また、1階はバーチカル(前回ご紹介しました)設計としてレールの出幅を最小限に抑えました。

停止位置では座面の向きは自由に設定できますので、無理なく乗降りしていただけます。


【パーキングポイント】

1階でも2階でも、椅子から降りた後、そのまま本体を停止させておきますと、通路の邪魔になってしまうことが多いのですが、階段上に“パーキングポイント”を設けることでこれを解消することができます。

下の写真を見ていただくと分かりますが、今回はL字カーブの下側に1箇所設けています。

椅子を折り畳んだ状態では壁からの出幅は約38cmで階段を塞いでしまうことはありません。

パーキングポイントへの移動は付属のリモコンで操作するのですが、使用環境やレール設計によっても変わってくるので、言葉で説明するのは少し難しいのです。

簡単にお話しますと、2階から階段リフトに乗って1階に到着 ⇒ 椅子から降りた後邪魔になるので椅子を折り畳む ⇒ そのまま1階に置いておくと階段を塞いでしまうのでリモコンでパーキングポイントに移動させる、という流れになります。

その後、1階で乗る時には、またリモコンを使って1階までリフトを呼び戻すのですが、このリモコンは停止位置とパーキングポイント間の呼び送り専用、即ち、1階でしか使わないということになります。

また、反対に2階の停止位置と階段上のパーキングポイントを往復させるという設定にもできます。

お客様にパーキングポイントを説明する際に分かりにくいかな?と思うのは、付属のリモコンが2つあって、どちらも同じものなのですが、2通りの用途に設定できるということです。

一つは、上記の説明の様に停止位置とパーキングポイント間の呼び送り用として設定。もう一つは、介助用リモコンとしての設定です。

ご利用者様の腕に片麻痺があったり、お子様が使用する場合など、ご自分でひじ掛け部のスティック操作が難しいことがありますが、こうした場合にはお付きの方がリモコンを使って一緒に上り下りすることができるのです。

ひじ掛け部の操作スティックと同じ動きをするのが介助用リモコンですから、2階にある本体を1階へ呼んできたり、1階から2階へ送ってあげることもできます。

今回の設定では、一つは1階停止位置とパーキングポイント間の呼び送り用に設定して1階に、もう一つは介助用リモコンとして2階に置いてご使用いただくことになりました。

日常的にお使いになれば、すぐにお慣れになると思いますが、ご不明点がありましたら、いつでもお問合せください。

因みに、レールのカーブ部分が平面上の場合、パーキングポイントは丁度角の部分に設置ができます。

今回は角部分には傾斜がついている為、設置ポイントは角の下か上ということになりました。

充電についてはまたお話する機会があると思いますが、パーキングポイントは充電ポイントになっており、本体がこのポイントにある時自動で充電が行われています。


【2つのあれっ

これまでの写真を見て何かお気づきになりましたか?

あれっ?と思った方は、もしかして同業者の方でしょうか?かなり観察力があります。

2点あるのですが、一つ目は、1階と2階の壁にかごがついていましたね。

そうです、前回ご紹介したHES社長考案のリモコンとお客様に優しいかごの取付サービスです。

リモコンを壁に固定してしまうと、電池交換がやり難かったりするので、使う時にすぐに取り外せるように、ご希望があったお客様にはかご取付サービスを行っているのです。

もう一つは、手すりの位置です。最初の4枚の写真では、手すりは見上げて左側に付いていましたが、設置後の写真では右側に付いています。

レール出幅の基準は標準で壁から200mmになりますが、手すりなどの出っ張りがあると、手すりから200mmの出幅になりますので、階段がより狭くなってしまいます。

手すりの出幅は通常70mm位ですからこの分だけ狭くなってしまいます。

今回は、お客様、中間業者様と相談して、レールはできるだけ壁に寄せたいとのご希望から、手すりは反対側に付け替えていただくとことになりました。

手すりを残す場合も、外していただく場合もありますが、お客様と十分にご相談させていただきご納得していただいた上でレール設計、製造を行いますので、ご安心ください。

 

【さいごに】

とりまく話①②では、実際の設置例を基に、あちこち脱線しながら話を書いてきました。

こちらが当たり前と思って書いていること、話していることでも、初めて設置を検討されるお客様には伝わっていないこともあると思います。

ですので、できるだけ興味深いだろうなと思ったことを、できるだけ分かり易く伝えていきたいと考えています。

最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。